新アトランティス(読み)しんアトランティス(その他表記)Nova Atlantis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新アトランティス」の意味・わかりやすい解説

新アトランティス
しんアトランティス
Nova Atlantis

フランシスベーコンの著書。 1627年刊。新しい哲学の原理が政治的機構と国家の指導のもとに遂行される理想国家を記述したロマンで,のちに理想的共和国家の法律が追加される予定だったが,実行されなかった。トマス・モアが 1516年にギリシア語の ou+topos (not+place)から Utopiaなる語を作る前に,プラトンの『国家編』以来,このような考えは存在し続けてきたのであり,アトランティス大陸の伝説と 15世紀以来の東洋航路開発の機運とともに,実際的なものとしてデザインされるようになった。たとえば A.フランチェスコの"Doni Mondi" (1552) ,F.パトリッツィの"La Città Felice" (53) ,T.カンパネラの『太陽の都』 Città del Sole (1602) で,ベーコンも,そのような機運に刺激されたとみることができる。さらにこの機運が,「新大陸」でユートピアを築こうとするピューリタン (→清教主義 ) の具体的行動も生んだ。

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