朝日日本歴史人物事典 「新居藤右衛門」の解説
新居藤右衛門
生年:延宝6(1678)
江戸中期の機業家,絹買商。上野国(群馬県)桐生の生まれ。名は道緩。享保16(1731)年に,市日変更などの桐生市「立替」を試み,隣接の大間々絹市に対する桐生での絹取引の地位を向上させた。また,元文4(1739)年には弟治兵衛が招いた京都西陣の織工から,高機による製織技術の導入をはかり,かつ,その技術の隣村機業家への普及をうながした。この技術普及策によって,周藤平蔵ら7人に独占されていた紗綾織技術が,桐生全体の絹織物発展の技術的基礎となった。西陣を頂点とする江戸期の技術独占の体系に,風穴を開けたひとりである。<参考文献>桐生織物史編纂会編『桐生織物人物伝』,『桐生市史』上
(谷本雅之)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報