日本大百科全書(ニッポニカ) 「新民晩報」の意味・わかりやすい解説
新民晩報
しんみんばんぽう / シンミンワンパオ
中国・上海(シャンハイ)の夕刊紙。英語表記Xinmin Evening News。中国共産党上海市委員会の指導を受ける。タブロイド判、48ページ建て。2012年の時点で発行部数78万部(『中国新聞年鑑』2014年版)。現存の中国紙で最長の紙齢を保つ。
前身は1929年9月南京(ナンキン)で創刊された『新民報』。同紙は各地方版を設けたが、上海では『新民報晩刊』(夕刊)が1946年5月1日に誕生。これが現在の『新民晩報』に直接つながる。創刊時は「超党派の民間紙」を標榜(ひょうぼう)。1947年5月国民党当局により「社会秩序を乱し政府転覆を謀った」として停刊されるも7月に復刊。1957年紙面刷新。「簡潔にさらに簡潔に。軟らかくさらに軟らかく」という編集方針に、主席の毛沢東(もうたくとう/マオツォートン)が「軟中に硬を」と注文。1958年現在の題号に改題した。また、北京(ペキン)の『北京晩報』(1958年創刊)、広州(こうしゅう/コワンチョウ)の『羊城晩報(ようじょうばんぽう)』(1957年創刊)と並ぶ夕刊紙である。文化大革命により1966年8月停刊に追い込まれたが、1982年に復刊。
1998年には同じ上海の朝刊紙『文匯報(ぶんわいほう)』(1938年創刊)と経営統合し、新聞グループ「文匯新民聯合(れんごう)報業集団」を結成した。その後、インターネットの普及、新聞広告の減少、部数減など経営環境の変化に対応すべく、2013年10月、同集団は、上海のもう一つの新聞グループ「解放日報報業集団」と合併、「上海報業集団」が成立した。ただし、新民晩報は、集団に属しつつも、独立法人としての地位を回復、経営においても独自性を強化する方針に転じた。
[木原正博 2016年4月18日]