日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本国民救援会」の意味・わかりやすい解説
日本国民救援会
にほんこくみんきゅうえんかい
冤罪(えんざい)や政治的弾圧事件、労働事件などの被害者救援に取り組む人権運動団体。前身は1928年(昭和3)に野田醤油(しょうゆ)争議をきっかけに創立された解放運動犠牲者救援会。同年の三・一五事件以来検挙された共産党員の救援にも活動するが、しだいに社会民主主義系のメンバーが離脱し、1930年に国際赤色救援会(モップル)に加盟して日本赤色救援会となった。自らも治安維持法の対象団体となりながら活動したが、弾圧のため1937年に消滅した。第二次世界大戦後の1945年(昭和20)10月に解放運動犠牲者救援会として再建され、同年12月勤労者生活擁護協会、1946年労農運動救援会、1948年日本労農救援会と改称・改組されたが、1951年救援の対象を一般国民にまで広げる必要があるとして日本国民救援会に改組した。1963年に最高裁で被告全員の無罪を確定させた松川事件は、同会が主導した大衆的裁判闘争の重要な成果である。
[松尾 洋・手島繁一]
『日本国民救援会「70年のあゆみ」編纂委員会編『救援会の70年』(1998・日本国民救援会)』