旧幕府引継書(読み)きゆうばくふひきつぎしよ

日本歴史地名大系 「旧幕府引継書」の解説

旧幕府引継書
きゆうばくふひきつぎしよ

解説 散佚をまぬかれて現在まで引継がれる江戸町奉行所を中心とする評定所寺社奉行作事奉行など江戸幕府諸役所の記録類。国立国会図書館に所蔵されている。「撰要類集」「市中取締類集」「諸問屋再興調」「御触書集成」「仕置例類集」、町方書上・屋敷書抜・屋敷渡預絵図証文など、政治・法制・社会・経済から風俗世相に関するものまで多くの重要な史料が含まれる。日本マイクロ写真からマイクロフィルムとして刊行されている。また、大日本近世史料として「市中取締類集」「諸問屋再興調」が東京大学出版会から刊行中。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の旧幕府引継書の言及

【江戸幕府】より

…寺社奉行所文書は内務省に引き継がれ関東大震災で焼けたが,一部は国立国会図書館と内閣文庫に所蔵されている。町奉行所文書は市政裁判所,東京府ついで上野の帝国図書館に引き継がれ,現在国立国会図書館が管理し,旧幕府引継書と呼ばれる。旧幕府引継書は,法令類を編集した《撰要類集》や《市中取締類集》,触留・町触,南北町奉行所年番書類,諸問屋再興調,札差記録,町方書上・寺社書上,外国事件書などが主要なもので,寺社奉行所の仕置類例集,評定所書留,普請奉行役所の御府内沿革図書などを含む。…

【記録】より

…広義には編年体の史書・伝記,類別編纂記録,覚書などの文書をも含む。 幕府の記録の主体は右筆や御用部屋の《江戸幕府日記》であるが,国立国会図書館所蔵の旧幕府引継書は江戸の町奉行所書類を中核とし,《撰要類集》《市中取締類集》《町会所一件留》《諸問屋再興調》《町方書上》《寺社書上》などの記録がある。幕府法令を例にとれば,《御触書集成》をはじめ《御当家令条》《武家厳制録》《庁政談》《律令要略》《享保度法律類寄》《元文律》《享保通鑑(つがん)》《大成令》《憲教類典》などが編纂され,《正宝事録》《撰要類集》は町奉行所法令・先例であり,《御仕置裁許帳》《元禄御法式》は町奉行所,《御仕置例類集》《裁許留》は評定所撰集の刑事先例集で,記録の性格が強い。…

※「旧幕府引継書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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