撰要類集(読み)せんようるいしゅう

改訂新版 世界大百科事典 「撰要類集」の意味・わかりやすい解説

撰要類集 (せんようるいしゅう)

江戸幕府の法令集。1716年(享保1)から36年(元文1)まで江戸の町奉行所で取り扱った裁判・行政関係の判例・法令を,老中との間の上申・指示や評定所の決定,調査した先例など立法過程の詳しい記事を含めて分類編纂したもの。7巻。南北両町奉行所で編纂し,相互に情報を交換して記事に組み入れていたと認められるが,現存するのは南町奉行所の分で,はじめ奉行大岡忠相(ただすけ)が1725年までを組与力上坂正形に編纂させ,その後36年まで追加編集したものである。この後も両奉行所に撰要方という係をおいて編纂を続行し,宝暦年間に1753年(宝暦3)まで本書を増補した《享保撰要類集》が成立し,以後弘化を除き,宝暦から安政まで各年号を冠した《撰要類集》の編纂が行われたが,明和安永天明,天保,嘉永を除き,散逸著しい
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日本歴史地名大系 「撰要類集」の解説

撰要類集
せんようるいじゆう

別称 撰要集

写本 国立国会図書館旧幕府引継書(抄三一冊、起立之部五冊)・浅野図書館(六五冊)ほか

解説 江戸町奉行所でまとめた法令先例集。南町奉行の大岡忠相が着手し、その後町奉行支配下の撰要方に引継がれ幕末期まで編纂されたものの総称。内容は享保元年からの諸法令の沿革立法の原因事情、一般の民情や老中から町奉行所への諮問など、多岐にわたる。

活字本 近世法制史料叢書・旧幕府引継書影印叢刊

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の撰要類集の言及

【大岡忠相日記】より

…なお町奉行時代のものもあったと考えられるが未発見。内閣文庫蔵《撰要類集》はそれをもとに編纂したとの見方もある。【大石 慎三郎】。…

※「撰要類集」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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