作事奉行(読み)サクジブギョウ

デジタル大辞泉 「作事奉行」の意味・読み・例文・類語

さくじ‐ぶぎょう〔‐ブギヤウ〕【作事奉行】

鎌倉室町江戸幕府職名殿舎造営修理土木などの工事をつかさどった。

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精選版 日本国語大辞典 「作事奉行」の意味・読み・例文・類語

さくじ‐ぶぎょう‥ブギャウ【作事奉行】

  1. 〘 名詞 〙 鎌倉・室町・江戸幕府の職名。殿舎の造営、修理などの建築土木工事をつかさどる。寛永九年(一六三二定職となり、老中支配下に属し、大工頭等を指揮して幕府の建築工事一切をつかさどった。定員二~三名。役高二千石。作所奉行。作事方奉行。
    1. [初出の実例]「於作事奉行人者、如材木用意」(出典吾妻鏡‐建久元年(1190)七月二七日)

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改訂新版 世界大百科事典 「作事奉行」の意味・わかりやすい解説

作事奉行 (さくじぶぎょう)

殿舎,社寺等の築造や修繕をつかさどった職。元来は工事のつど任命された。江戸幕府では1632年(寛永9)に佐久間将監直勝,神尾内記元勝,酒井因幡守忠知の3人を任じて,諸職人をその管下に置き,以来常置の職となった。97年(元禄10)の幕府小細工方廃止にともなう勤方規定によると,作事方は江戸・遠国のおもだった御普請を担当し,材木方,畳方,植木方,絵師大工等を支配している。1712年(正徳2)の小普請奉行解任後,しばらくその職務を兼帯したが,17年(享保2)小普請奉行が再置され,翌年江戸城内外,御府内の幕府管下の建造物を小普請奉行方と分割,作事奉行方は本丸西丸の表向,櫓,内郭外郭の門塀,寛永寺諸堂社等を管掌することになった。このほかに切支丹宗門改鉄砲改等の職務を兼ねた。人数ははじめ2~3名,のち2名に固定した。23年制定の役高は2000石高で,従五位下に叙せられた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「作事奉行」の意味・わかりやすい解説

作事奉行
さくじぶぎょう

江戸幕府の職制。1632年(寛永9)創置。普請(ふしん)奉行や小普請(こぶしん)奉行と併称して下三奉行という。員数は2~3人(老中支配、役高2000石、諸大夫(しょだいぶ)、芙蓉間詰(ふようのまづめ))であった。うち1人は宗門改(あらため)、1人は一時期鉄砲改を兼帯した。配下には畳奉行、大工頭、作事下奉行など多数の役職が置かれた。初め幕府の土木、建築はすべてその管掌下にあった。しかし、普請・小普請両奉行の創置後は三者で分掌し、その職掌はもっぱら殿屋の建築のみに限られた。のち1862年(文久2)普請・小普請両奉行の廃止後は普請方・小普請方ともその配下に所属し、67年(慶応3)屋敷改の役名廃止後はその職掌も兼務した。

[北原章男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「作事奉行」の意味・わかりやすい解説

作事奉行
さくじぶぎょう

鎌倉,室町,江戸幕府の職名で,殿舎の修造,土木事業などを司った。江戸時代には諸国の寺社の修理なども臨時に司り,また諸藩にも同名の職があった。

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世界大百科事典(旧版)内の作事奉行の言及

【小堀遠州】より

…はじめ豊臣秀吉に仕え,のち徳川家康に従い,父正次の死後は家を継いで近江小室1万石を領して遠江守に任ぜられた。早くより古田織部に茶の湯を学び,品川御殿作事奉行の任にあった1636年(寛永13),同御殿で3代将軍徳川家光に献茶し,ここからいわゆる将軍家茶道師範の称がおこった。大名茶全盛時代にふさわしく茶室,鎖の間(小座敷と書院の中間に位する座敷),書院の一体化をはかり,台子(だいす)の茶法を中心とする〈きれいさび〉の茶を主張した。…

【普請】より

…曝書,除煤,摘茶,掃除や堂塔の造営など幅広い労役に用いられたが,そこから転じて,室町時代には一般に土木工事のことをいうようになる。 鎌倉幕府の職名には作事奉行の名が見えるのみで,これが建築,土木の両工事を管掌したとみられるが,室町幕府では,建築工事は作事奉行が,土木工事は普請奉行が管掌するように分化している。室町幕府の普請奉行は,とくに将軍,天皇の御所の造営,築地,庭の修築工事や庭中掃除を重要な仕事としたが,戦国大名の下では領民に普請役を課して,堤防,せき,用水路,橋,道路の修築を大規模に行うようになる。…

※「作事奉行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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