朝日日本歴史人物事典 「早川初瀬」の解説
早川初瀬
生年:生年不詳
江戸前期の若女形の歌舞伎役者。はじめ若衆形,のち若女形に転向。元禄14(1701)年より江戸へ下り,初代中村七三郎と共演することで芸を磨いた。得意の軽業芸では生島大吉と一対とされ,若女形の首位を争った。所作事,荒事,濡れ事,愁嘆などすべてに長じ,大吉が夭折したのちは名実ともに若女形の首位となった。宝永7(1710)年,早川権三郎として立役に転向したが評判が悪く,翌年再び若女形へ戻る。しかし若手の筒井吉十郎,浅尾十次郎らの人気に押され,評判記でも衰えを指摘されるようになる。晩年は若女形の最高位である巻軸となり,重鎮としての役割を担った。<参考文献>『歌舞伎評判記集成』1期
(北川博子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報