早河荘(読み)はやかわのしょう

改訂新版 世界大百科事典 「早河荘」の意味・わかりやすい解説

早河荘 (はやかわのしょう)

神奈川県小田原市周辺にあった荘園。現在の同市のほぼ南半分くらいを占めていたと思われる。平安時代,1020年(寛仁4)に相模守として下向した貴族大江公資が国司在任中に早川牧として設定した。彼は長暦年間(1037-40)に他の国の所領とともに早川牧を藤原道長の子の民部卿長家に寄進し,これを本家と仰ぎ,みずからは領家となって子孫に伝えた。孫の大江公仲は95年(嘉保2)に領家職を養子の以実に譲ったが,公仲の長女仲子と以実の間に領家職をめぐる相論が起こった。在地領主は源頼朝挙兵時より小早川遠平(土肥実平の子)であったと思われ,1202年(建仁2)には下地を中分して,その預所職が停止され箱根権現に寄進された。荘内には風祭郷,田子郷,一得名,長尾名,久富名などがあり,現在の小田原市内に地名としてのこっているが,とくに田子の一得名は山内首藤(やまのうちすどう)氏が鎌倉期を通じて屋敷・直営地を構えていたことで知られる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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