デジタル大辞泉
「早苗饗」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
さ‐なぶり【早苗饗】
〘名〙
田植え始めに神を迎える
行事「
さおり」に対し、田の神を送る行事。転じて、そのときの飲食行事。田植え終わりの祝い。さなぶりの
神事。さなえぶり。さなぼり。さのぼり。《季・夏》 〔書言字考節用集(1717)〕
※六百五十句(1955)〈
高浜虚子〉昭和二一年「早苗饗や神棚遠く灯ともりぬ」
[語誌]
民俗学では「さ」とは「田の神」を意味する。まず田植えの前に田の畦などに神の依代
(よりしろ)を作り、天から田の神(=さ)を招き寄せるが、これが「さおり」(さ+降り)であり、無事に田植えが終わると田の神は再び天に昇っていく。これが「さのぼり」(さ+昇り)で、
農民は植えた苗が台風や病害虫などに遭わず秋には
豊作になるように祈った。「早苗饗」は
豊作祈願の神事であると同時に、田植えという重労働を終えての(共同体を挙げての)慰労会でもあった。
さ‐なぼり【早苗饗】
※
諸国風俗問状答(19C前)近江国多羅尾村風俗問状答「田植終をさなぼりと云」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報