朝日日本歴史人物事典 「明全」の解説
明全
生年:元暦1(1184)
鎌倉初期の臨済宗黄竜派の禅僧。房号は仏樹房。伊勢(三重県)の蘇氏の出身。比叡山横川の杉井坊明融について出家し顕密2教を究め,さらに京都東山建仁寺の明庵栄西に禅律を学んだ。貞応2(1223)年に門人の道元らと共に入宋し,明州(浙江省)の天童山景徳寺に入り無際了派に参じた。この間,栄西の顕彰のため『日本国千光法師祠堂記』を立石することなどに努めたが,ついに天童山の了然寮で示寂した。道元はその遺骨を持参して帰国し,建仁寺に葬った。<参考文献>佐藤秀孝「仏樹房明全伝の考察」(『駒沢大学仏教学部研究紀要』49号)
(佐藤秀孝)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報