臨済(読み)りんざい

精選版 日本国語大辞典 「臨済」の意味・読み・例文・類語

りんざい【臨済】

[1]
[一] 中国、唐代の僧。臨済宗の祖。諱は義玄勅諡は慧照禅師。鎮州(河北省)臨済院に住んでいたところからの名。曹州南華(山東省)の人。黄檗(おうばく)希運の法をつぎ、その教育は峻烈豪放で「臨済の喝(かつ)徳山の棒」と称された。法語の集録臨済録という。八六七年没。
[二] 楽長次郎作の七種の茶碗の一つ。赤楽。現在は紛失。
[2] 〘名〙 「りんざいしゅう(臨済宗)」の略。
興禅護国論(1198)中「今最盛是臨済也」

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デジタル大辞泉 「臨済」の意味・読み・例文・類語

りんざい【臨済】

[?~867]中国、唐代の禅僧。名は義玄ぎげん臨済宗開祖。曹州南華(山東省)の人。黄檗希運おうばくきうんに師事し、3年の坐禅によって得道。みずから臨済と名のる。言行弟子が集録して「臨済録」を編纂した。勅諡ちょくし号、慧照えしょう禅師。

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改訂新版 世界大百科事典 「臨済」の意味・わかりやすい解説

臨済 (りんざい)
Lín jì
生没年:?-866

中国,唐代の僧。臨済禅の開祖。僧名は義玄,恵照禅師。臨済は,住院の名である。姓は邢。曹州南華の人。江西の黄檗(おうばく)山で希運に参じ,馬祖にはじまる新しい祖師禅を伝える。武宗の廃仏を期として河北に帰り,藩鎮王氏の帰依で,臨済院を開く。古典教義の句によらず直接に弟子たちの自覚を求めて,あるいは棒で打ち,あるいは大声で喝するなど,独自の手段が早くより注目された。その言行を集める《臨済録》があり,のちに中国と日本の臨済禅のよりどころとなる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「臨済」の意味・わかりやすい解説

臨済
りんざい
Lin-ji

[生]?
[没]咸通7(866)
中国,唐の禅僧。曹州南華の人。名は義玄,諡は慧照禅師。臨済宗の祖。一説に咸通8 (867) 年生まれ。黄檗希運の法を継ぎ,参禅修行者には厳しい喝を与え,中国禅宗のなかで臨済宗は最も盛えた。臨済禅の激しさは画題としてもしばしば取り上げられ,その言行は弟子により『臨済録』にまとめられている。

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百科事典マイペディア 「臨済」の意味・わかりやすい解説

臨済【りんざい】

中国の禅僧。臨済宗の開祖。僧名は義玄,諡(おくりな)は慧照。黄檗希運(おうばくきうん)に受法。公案,棒,喝で有名。言行録は《臨済録》。仏教の般若と,荘子の思想をふまえ,東洋的自由を実践した。

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世界大百科事典(旧版)内の臨済の言及

【禅宗】より

…中国と日本の仏教宗派の一つ。日本では,鎌倉時代より江戸時代の初期にかけて,中国より伝えられる24流48伝がそのすべてで,今では臨済,曹洞,黄檗の3派に大別される。 禅は,インドに起き,禅宗は,中国で始まる。…

【臨済宗】より

…中国唐代の禅宗は,大別して玉泉神秀(ぎよくせんじんしゆう)の北宗禅と曹渓慧能(そうけいえのう)の南宗禅の2流に分けられるが,漸悟を説く北宗禅は早く衰微した。これに対し,頓悟を説く南宗禅では,青原行思(せいげんぎようし),南岳懐譲(なんがくえじよう)らの逸材が輩出し,青原の門流から曹洞(そうとう)・雲門・法眼(ほうげん)の3宗,南岳の系統から臨済・潙仰(いぎよう)の2宗が生まれ,これを五家という。 臨済宗は臨済義玄(臨済)に始まり,会下(えか)の黄竜慧南(おうりようえなん)の黄竜派,楊岐方会(ようぎほうえ)の楊岐派の2流を生じ,五家と併せて七流とも呼ばれている。…

【臨済録】より

…中国の臨済禅の開祖,臨済義玄(?‐866)の語録。詳しくは《鎮州臨済恵照禅師語録》。…

※「臨済」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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