改訂新版 世界大百科事典 「星間磁場」の意味・わかりやすい解説
星間磁場 (せいかんじば)
interstellar magnetic field
星間空間や星間ガス雲中に存在する磁場。太陽付近の星間磁場ははくちょう座腕に沿って銀経80°,銀緯0°の方向に走っていて,その強さは3×10⁻6ガウス程度である。磁場で整列した星間塵による星の光の偏光,銀河電波の直線偏波,パルサーや銀河系外電波源の直線偏波のファラデー回転などの観測によって知ることができる。星間ガス雲中の磁場強度は10⁻5~10⁻4ガウスと考えられ,ガス雲の発する波長21cmの中性水素輝線のゼーマン効果の観測から知られる。星間ガス中のイオンのラーモア半径(荷電粒子が磁場中で行う円運動の半径)はガス雲や銀河ガス円盤の厚さに比して小さいために星間ガスと磁場は互いにとじ込め合った状態にある。宇宙線は星間磁場に束縛され長期間(~107年)銀河系内にとじ込められる。宇宙線電子は磁場との相互作用によってシンクロトロン放射をして銀河電波の源となる。星間磁場の起源については銀河の形成時に銀河間空間の磁力線がまき込まれてできたとする説と,微分回転をする銀河ガス円盤との電磁流体的な相互作用の結果最初わずかにあった磁場が増幅されてできたと考える説がある。
→宇宙磁場
執筆者:祖父江 義明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報