星間通信(読み)せいかんつうしん(英語表記)interstellar communication

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「星間通信」の意味・わかりやすい解説

星間通信
せいかんつうしん
interstellar communication

宇宙に存在する異なる文明間で行われる通信のこと。高度な宇宙文明の存在や星間通信の方法については,1960年以後,アメリカやソ連を中心として現実性のある科学的課題として研究されるようになり,71年にはソ連のアルメニアにあるビュラカン天文台で第1回の「地球知的生命との通信 Communication with Extra-Terrestrial Intelligence (略称 CETI) 」に関する米ソ会議が開かれた。以来この種の会議がアメリカや旧ソ連で数回開かれている。地球が属する銀河系だけでも約 2000億個の恒星を含み,その数%は太陽のように適度のエネルギーを数十億年にわたって定常的に放出する恒星である。このような恒星の周囲に地球のような環境の惑星があれば,その表面生命が発生し,数十億年の進化後に高度な技術文明をもつ知的生命が現れることも可能であろう。このような発想に基づいて,地球外知的生命からの信号電波を受信しようとした最初の試みは,60年にアメリカのウェストバージニア州グリーンバンクにある国立電波天文台の 26m電波望遠鏡で実行されたオズマ計画で,地球から 11光年の距離にある太陽に似た2つの恒星がその対象であった。この計画は成果の得られないまま3ヵ月間で打切られたが,以来アメリカ,旧ソ連およびカナダ電波天文台や観測施設で同様な計画が続行されている。さらにアメリカではサイクロップス計画のような大アンテナ群の建造も検討されている。これらの計画や実験とは逆に,意図的な信号電波を地球から宇宙空間に送信する試みとして,74年にプエルトリコアレシボにあるアメリカ国立電波天文台の直径 300mのアンテナから約2万 1000光年の距離にあるヘルクレス座の球状星団 M13に向けて,二進法の数字で構成された信号電波が3分間発射された。太陽や地球よりはるかに古いこの球状星団に高度な文明をもつ知的生命がいるなら,いまから約2万 1000年後に地球からのこの信号電波を受取るであろう。

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