日本大百科全書(ニッポニカ) 「アメリカ国立電波天文台」の意味・わかりやすい解説
アメリカ国立電波天文台
あめりかこくりつでんぱてんもんだい
National Radio Astronomy Observatory
アメリカ最大の電波天文台。略称NRAO。1956年に設立され、電波天文学をリードし続けている。本部はバージニア州シャーロッツビルにあり、三つの観測所をもつ。アメリカ科学財団(NSF:National Science Foundation)のもと、アメリカ北東部大学連合(AUI:Associated Universities,Inc.)によって運営されている。もっとも古いグリーンバンク観測所(ウェスト・バージニア州)には、直径100メートルの高精度電波望遠鏡Green Bank Telescope(GBT)と、巨大赤道儀架台で有名な直径43メートルの電波望遠鏡がある。1981年にニュー・メキシコ州ソコロに開設されたVLA(Very Large Array、超大型干渉電波望遠鏡群)は、直径25メートルのパラボラ鏡27基を35キロメートルの範囲に配置した大型電波干渉計で、その大集光力と高い分解能で、銀河爆発などの解明に威力を発揮している。また1991年から運用されているVLBA(Very Long Baseline Array、超長基線群のネットワーク)は、アメリカ全土8000キロメートルを超える基線に25メートルのパラボラアンテナ10台を配置してVLBI(超長基線電波干渉計Very Long Baseline Interferometer)観測を行う強力な装置である。さらに日本の国立天文台(NAOJ)、ヨーロッパ南天天文台(ESO)と協力して、チリの「ALMA(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)」を建設し、2013年から共同で運用している。
[海部宣男 2017年7月19日]
『赤羽賢司・海部宣男・田原博人著『宇宙電波天文学』(1988/復刊・2012・共立出版)』▽『中井直正他編『宇宙の観測2』シリーズ現代の天文学16(2007・日本評論社)』▽『海部宣男著『銀河から宇宙へ』(新日本出版社・新日本新書)』