異星の惑星上に住む高度技術文明をもつ宇宙人と、地球人類とが電波で交信しようとする試みの原点となった計画。1960年、アメリカ、ウェスト・バージニア州グリーンバンクにある国立電波天文台の口径26メートルのアンテナ(2016年にグリーンバンク天文台に移管)を使って、ドレイクFrank Donald Drake(1930―2022)が、くじら座τ(タウ)星およびエリダヌス座ε(イプシロン)星からの波長21センチメートルの電波を受信しようとした。観測そのものは400時間行われただけで打ち切られ、受信にも成功しなかったが、学界と一般社会に電波天文学への関心を高めたこと、宇宙人観に新たな刺激を与えたことなど、その意義は大きかった。なお、この計画名「オズマ」は、バウムの童話シリーズ(『オズの魔法使い』など)に登場するオズマ姫にちなんだものである。
[横尾広光 2018年10月19日]
『W・サリバン著、上田彦二訳『われわれは孤独ではない』(1967・早川書房)』
地球外に知的生物がおり,電波探査によってその存在を検出しようとした計画。物理学的・天文学的考察から,このような知性は,波長21cm(周波数1420MHz)の水素線の近傍の波長で宇宙空間へ向けて通信を行っているとモリソンP.MorrisonとココーニG.Cocconiは考えた。1960年,アメリカ国立電波天文台のドレークF.D.Drakeは,この考えに従って太陽の比較的近傍にあって,太陽類似の,くじら座τ星とエリダヌス座ε星を2ヵ月にわたって延べ150時間あまり観測した。彼はボームL.F.Baum(1856-1919)のおとぎ話に出てくるオズの国の王女の名をとってこの計画をオズマ計画と名づけた。結果は否定的であったが,その後,多くの周波数,多数の星について同様な観測が試みられる端緒になった歴史的な探査計画である。
→サイクロプス計画
執筆者:寿岳 潤
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…一般にUFO(未確認飛行物体)とされているものは宇宙人の乗物であるといわれているが,今のところこうした考え方に対しては否定的な意見が強い。しかし,宇宙に知的生物が存在することの理論上の可能性については肯定論も多く,宇宙からの電波を受信しようというオズマ計画やボエジャー宇宙船によるメッセージの打上げのようなコンタクト(接触)へのささやかな努力が続けられている。 日本の《竹取物語》のような月人伝説は世界中にみられ,物語に登場する宇宙人の歴史も古い。…
※「オズマ計画」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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