春日庄(読み)かすがのしよう

日本歴史地名大系 「春日庄」の解説

春日庄
かすがのしよう

正暦二年(九九一)の大和国使牒(東南院文書)に「伴庄本願聖霊天平宝字八年十二月十二日勅施入也、爾来以降、専無他妨、而今年三月十五日興福寺牒状称、春日庄内、或称菟足社司所進神田、或称喜多院伝領田、(中略)何興福寺横以妨領乎(下略)」とみえる。これによると、春日庄は聖武天皇の勅施入田に始まる東大寺領荘園と考えられるが、同年興福寺が荘内に菟足うなたの社司の寄進田(菟足社へか)や興福寺喜多院の伝領田があるといって押領しかけたことがうかがえる。寛弘九年(一〇一二)の東大寺所司等解(保坂潤治氏蔵文書)によると、菟足社は「自昔為寺家鎮守、坐於庄内」とあり、春日庄の鎮守であったと東大寺はいっているが、同年の大和国司解案(お茶の水図書館蔵文書)では、同社神主は大中臣氏であり、春日社や興福寺の勢力が及んでいたと推測される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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