春日郷（読み）かすがべごう

日本歴史地名大系

春日郷
かすがべごう

• 岐阜県：美濃国
• 池田郡
• 春日郷

「和名抄」所載の郷。他国の訓注にあるようにカスガベ、カスガの両方が考えられるが、本来の語形カスガベとよんでおく。大宝二年（七〇二）の御野国戸籍（正倉院文書）の味蜂間（あじはちま）郡春部里の後身とされる。比定地は「日本地理志料」が現揖斐（いび）郡春日（かすが）村香六（こうろく）に比定しているが、同地は伊福（いふく）郷にふさわしい。「濃飛両国通史」「大日本地名辞書」「揖斐郡志」「岐阜県史」など一般には粕（かす）川の下流地域にあたる現同郡池田町養基（やぎ）地区・揖斐川町脛永（はぎなが）地区に比定される。

春日郷
かすがごう

• 奈良県：大和国
• 添上郡
• 春日郷

「和名抄」高山寺本に「賀須賀」、刊本に「加須加」と訓ずる。「大和志」は「方廃春日社存」として現奈良市春日野（かすがの）町の春日大社付近に比定。宝亀三年（七七二）の大和国春日荘券（早稲田大学図書館文書）に「大和国添上郡春日郷」がみえる。また「日本書紀」綏靖天皇二年一月条に「春日県主」、開化天皇元年一〇月一三日条に「都を春日の地に遷す。春日、此をば箇酒鵝と云ふ。是を率川（いざかは）宮と謂ふ」、景行天皇五五年二月五日条に「春日の穴咋（あなくい）邑」、継体天皇七年九月条の長歌に「春日の国」などとあり、「続日本紀」和銅元年（七〇八）九月二七日条に「至春日離宮」、天平勝宝二年（七五〇）二月一六日条に「幸春日酒殿」とみえ、同年二月二四日の官奴司解（東南院文書）に「春日村」がある。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」