改訂新版 世界大百科事典 「春記」の意味・わかりやすい解説
春記 (しゅんき)
参議兼春宮権大夫藤原資房(1007-57)の日記。官名〈春宮権大夫〉により《春記》といい,《資房卿記》とも,家号〈小野宮〉と諱(いみな)から各1字をとって《野房記》とも称する。1026年(万寿3)より54年(天喜2)までの記事を存するが,中間を多く欠く。記事は具体性に富み,資房自身の感慨を率直に表すこともままあり,当時の公家の日記の中で際だった特徴を見せている。平安時代書写の宮内庁書陵部所蔵本8巻のほか数種の古写本が伝存する。早く紀伊新宮藩主水野忠央の編纂した《丹鶴叢書》に収められ,これが1912年に活字化されたが,さらにそれに〈春記脱漏〉〈春記脱漏補遺〉を加えて《増補史料大成》にも収める。
執筆者:吉岡 真之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報