改訂新版 世界大百科事典 「是評判浮名読売」の意味・わかりやすい解説
是評判浮名読売 (これはひょうばんうきなのよみうり)
歌舞伎狂言。世話物。1幕2場。別名題《新板色読販(しんぱんうきなのよみうり)》《是吾妻(これはあづま)浮名読売》。通称《ちょいのせ》《ちょいのせの善六》。3世桜田治助作。1862年(文久2)5月江戸守田座初演。善六を4世市川小団次,お染を初世市川福太郎(のちの初世市川右団次・斎入),久松を2世中村福助,清兵衛を3世市川市蔵。原作は《三升蒔画巵(みつぐみまきえのさかずき)》の二番目で3幕から成っていたが,のちにその中の〈油屋〉のみが独立して上演されるようになったもの。《染模様妹背門松(そめもよういもせのかどまつ)》の書替えで,お染に横恋慕する番頭善六の道化ぶりを見せ場とする滑稽劇となっている。劇中,清兵衛が歌祭文の本を善六の頭にちょいと載せるところからこの通称が定着した。後半〈蔵前〉の場のお染と善六は人形振りで演ぜられるが,そこでも後者のおかしみが強調されている。
→お染久松物
執筆者:原 道生
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報