日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
時間帯補正等価騒音レベル
じかんたいほせいとうかそうおんれべる
航空機騒音の測定や評価に用いられる指標の一つ。Lden(エルデン)ともいう。航空機の1回の飛行に伴う騒音が聞こえはじめてから聞こえなくなるまでの継続時間において、人の受ける騒音エネルギーの量が単発騒音暴露レベル(LAE:sound exposure level)として測定され、その騒音値に飛行時間帯による重み付けを施したうえで、1日の騒音の総暴露量を評価する。単位はデシベルdBで表される。Ldenは、day-evening-night equivalent sound levelに由来した造語で、Ldenのdenは、day(日中)、evening(夕方)、night(夜間)の頭文字である。これは時間帯による騒音の感じ方の違いが反映されていることを表したものである。1日の騒音値の算定では、LAEに夕方の19時から22時の航空機騒音として5デシベルを加え、深夜の22時から翌朝7時の飛行は10デシベルの重み付けを加算し、これらの値を飛行回数に応じて合算する。この1日に発生した総暴露量をもとに、1秒単位の平均を算出した値が騒音評価に用いられる。
Ldenはヨーロッパ連合(EU)の統一指標であり、アメリカやオーストラリアにおいても類似した等価騒音レベルを評価指標としている。日本では航空機騒音にかかわる環境基準として、1973年(昭和48)に加重等価平均感覚騒音レベル(WECPNL、通称うるささ指数)を評価指標とし、地域の類型ごとに基準値が定められていた。しかし環境基準が改正され、2013年(平成25)4月よりLdenが使用されることになった。評価指標の変更に伴い、これまで評価対象でなかった地上騒音(航空機が誘導路上を移動する際に発生する騒音など)も対象となった。
[編集部]