時雨の炬燵(読み)しぐれのこたつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「時雨の炬燵」の意味・わかりやすい解説

時雨の炬燵
しぐれのこたつ

浄瑠璃義太夫節(じょうるりぎだゆうぶし)、歌舞伎(かぶき)劇。本名題(ほんなだい)『天網島(てんのあみじま)時雨炬燵』。近松門左衛門作の『心中天網島』を1778年(安永7)に近松半二(はんじ)が改作した『心中紙屋治兵衛』を、後世さらに改めたもの。近松原作の中巻にあたる「紙屋内」の場面で、治兵衛の舅(しゅうと)五左衛門が娘おさんを連れ去るのを、治兵衛の恋人小春に添わせる好意のためとするほか、いくつかの改変がある。近年、近松の原作が尊重されるまでは、もっぱらこの改作が上演されてきた。

[松井俊諭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「時雨の炬燵」の解説

時雨の炬燵
しぐれのこたつ

歌舞伎・浄瑠璃の外題
初演
明治39.4(東京新富座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の時雨の炬燵の言及

【心中天の網島】より

…なお,治兵衛とおさんは従兄妹同士でもあるため矛盾は周りへと波及するが,兄の孫右衛門や叔母の苦境もよく書けている。改作物では歌舞伎《のべの書残(かきおき)》の影響などもうけて増補された1778年(安永7)4月大坂北新地芝居初演の近松半二作《心中紙屋治兵衛》が最も有名で,その〈茶屋の段〉が〈河庄〉として流行し,また〈紙屋内〉は半二の作をさらに改めた《天網島時雨炬燵(しぐれのこたつ)》(略して《時雨の炬燵》とも)がもっぱら演じられてきた。歌舞伎では《のべの書残》を補訂した《のべの書置》系統のものも多く上演されてきた。…

※「時雨の炬燵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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