普遍経済学(読み)ふへんけいざいがく(英語表記)l'éconmie générale(仏)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「普遍経済学」の意味・わかりやすい解説

普遍経済学
ふへんけいざいがく
l'éconmie générale(仏)

G.バタイユが,その著書『呪われた部分』などにおいて提出した言葉。生物や人間に根本問題を突きつけるものは,近代の思考を規定してきた必要性 (生産をめぐる限定経済学) ではなく,生命の沸騰として表出される過剰エネルギーの蕩尽 (とうじん) であるとするバタイユの根本思想を,エネルギーの経済学的考察により根拠づけようとして用いた語である。バタイユは,アメリカインディアンポトラッチ,宗教的儀礼としての供儀,祝祭などの社会現象や,個人生活におけるエロティシズムなど,近代合理主義が生産・蓄積を至上目的として立ててきた効用主義の観点から「呪われた部分」として無視したものこそ,人間的生の充実にとって不可欠であるとし,この「呪われた部分」を生み出す原理を「過剰」と「蕩尽」に求めた。絶えず生み出されるエネルギーの過剰を蕩尽することに,人間の生の至高性の可能性を見たバタイユは,この「普遍経済学」により,近代的人間の生の衰弱と不安を,真に普遍的かつ明晰 (めいせき) な自己意識により,乗り越え,生の連続性における人間の交感へと,生の至高性へと限りなく近づこうとする試みを根拠づけようとしたのである。

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