有り所(読み)ありしょ

精選版 日本国語大辞典 「有り所」の意味・読み・例文・類語

あり‐しょ【有所・在所】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ありどころ(有所)」の湯桶(ゆとう)読み )
  2. その人のいる場所。住んでいる所。ありか。居場所
    1. [初出の実例]「さるほどに〈略〉三日かうちにありしょかしるるなり」(出典:説経節・説経苅萱(1631)下)
    2. 「ありしょ定めぬうき身のはて」(出典:浄瑠璃・弱法師(1694)四)
  3. 物事が起こった場所。
    1. [初出の実例]「ナウ我子を海に沈め給ひし、在所(アリショ)はいづくの所にて候ぞ」(出典一中節・藤戸物語(1852))

あり‐どころ【有所・在処】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物のある所。所在。ありか。ありしょ。ありど。ありどこ。
    1. [初出の実例]「ここなる男こそ、水のあり所は知りたるらめ」(出典:古本説話集(1130頃か)五八)
  3. 人のいる所。いどころ。居場所。
    1. [初出の実例]「ありどころは聞けど、人の行き通ふべき所にもあらざりければ」(出典:伊勢物語(10C前)四)

あり‐ど【有所・在処】

  1. 〘 名詞 〙ありどころ(有所)
    1. [初出の実例]「楼台の荘厳よりはじめて、林池のありどにいたるまで、殊に心とまりて見ゆ」(出典:東関紀行(1242頃)鎌倉遊覧)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android