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鎌倉中期の紀行文学。一巻。作者未詳。1242年(仁治3)8月10日ごろ京都を出発し、十余日後鎌倉に到着。そこで約2か月間滞在し、10月23日ごろ帰途に着くまでのことを書いているが、京都から鎌倉までの道中記が大部分で、鎌倉滞在記は逗留(とうりゅう)期間60日にしてはきわめて短い。文章は漢語を多く用いた和漢混交文であるが、和文、漢文のよくこなれた流暢(りゅうちょう)な文章である。また文中に『源平盛衰記』や『長門本(ながとぼん)平家物語』の文章と類似した部分がある。同じ鎌倉時代の東海道や鎌倉を描いた『海道記』に比べると自照性に乏しく、紀行文学としての文学的価値は低い。
[祐野隆三]
『玉井幸助・石田吉貞校註『日本古典全書 海道記・東関紀行・十六夜日記』(1951・朝日新聞社)』
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1242年(仁治3)京都東山に住む作者が,京都と鎌倉間を往還した紀行。対句表現を多用した流麗な文体で,「平家物語」や芭蕉への影響も指摘される。「海道記」とともに江戸時代には鴨長明作と信じられたが不詳。琵琶湖の南岸に沿って一部東山道を経由し,尾張国に入る新ルートをとる。鎌倉滞在中の記述には大仏建立など貴重なものもある。和歌55首を含む。「群書類従」「新日本古典文学大系」所収。
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…古人の跡を求めて歌枕探訪の旅に出た主人公が,〈奥〉の受洗で独自の〈風流〉に開眼する点に,作品の意義があろう。《幻住庵記》で俳文の〈記〉の創出に成功した著者が,次の試みとして〈道の記〉の創出にとりくんだもので,前者が鴨長明の《方丈記》をふまえたように,これも当時《長明道の記》と称された《東関紀行》をふまえている。なお,同行の曾良には詳細な旅日記がある。…
※「東関紀行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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