車体後部に装備したガス発生炉によって木炭を乾留し,発生する木炭ガスを燃料とする一種のガス機関自動車。ガス発生炉の中で固体燃料を不完全燃焼させ,一酸化炭素を主成分とする可燃ガスをとりだし,冷却器,清浄器を通したのちガス空気混合器へ送りエンジンを作動させる。ガスを発生させるための固体燃料としては,木炭のほかに石炭,コークスなどが用いられた。フランスで開発されたものであるが,第1次世界大戦後,軍用自動車の重要性が認識されるに及び,日本でも石油資源の少ない国情を考慮して大正末に研究が開始された。その後,第2次大戦をはさむ昭和10年代から20年代にかけての一時期,バス,トラックなどの民間用として実用に供された。
執筆者:中谷 弘能
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報