一酸化炭素(読み)いっさんかたんそ(英語表記)carbon monoxide

翻訳|carbon monoxide

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

一酸化炭素
いっさんかたんそ
carbon monoxide

化学式 CO 。無色無臭猛毒性の気体。密度 1.250g/l (0℃,1気圧) ,融点-205.0℃,沸点-191.5℃,臨界圧 35気圧。炭素,炭素化合物の不完全燃焼,あるいは二酸化炭素を赤熱した炭素上に通すと生じる。実験室ではギ酸またはシュウ酸を濃硫酸と熱して得られる。

HCOOH→CO+H2O



(HCOO)2→CO+CO2+H2O

水に難溶。空気中では青い炎をあげて燃え,二酸化炭素になる。還元性が強く,高温では重金属酸化物を金属に還元するので,製鉄においては酸化鉄から銑鉄をつくるのに使われる。特殊な条件下で触媒を作用させると,多くの遷移金属と反応して金属カルボニルをつくる。ニッケルカルボニル Ni(CO)4 ,コバルトカルボニル Co(CO)4 はレッペ反応,オキソ反応の触媒として有機合成化学上重要。塩化銅 (I) の塩酸溶液に易溶。この反応は一酸化炭素のガス分析に使われる。生理的には血液中のヘモグロビンと結合する。ヘモグロビン-一酸化炭素結合は,ヘモグロビン-酸素結合の 210倍の強さがあるため,大気中に微量に含まれていても,長時間さらされると人体は中毒症状を起す。 (→一酸化炭素中毒 )

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百科事典マイペディアの解説

一酸化炭素【いっさんかたんそ】

化学式はCO。融点−205℃,沸点−191.6℃。無色,無臭,水に微溶の気体。有毒。空気中では青い炎をあげて燃え,強い還元性がある。炭素または炭素化合物が不完全燃焼するとき生ずる。発生炉ガス水性ガスなどの主成分で,天然ガス以外の家庭用都市ガスにも含まれている。燃料および鉱石の還元に多く使われ,メタノールの製造をはじめ有機合成化学工業の原料としても重要。
→関連項目環境基準工業中毒自動車排出ガス規制

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栄養・生化学辞典の解説

一酸化炭素

 CO (mw28.01).毒性の強い常温常圧で気体の物質で,一般的には炭素化合物の不完全燃焼で生じる.また,広く都市ガスとして使われた水性ガスの成分でもある.

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世界大百科事典 第2版の解説

いっさんかたんそ【一酸化炭素 carbon monoxide】

化学式CO。炭素,または炭素化合物が不完全燃焼するときに発生する無味,無臭,無色のきわめて有毒な気体。天然ガス以外の都市ガス中にも含まれる。ギ酸を濃硫酸,または濃リン酸で脱水したり,炭酸カルシウムCaCO3を亜鉛末と加熱して得るが,ニッケルカルボニルNi(CO)4を約200℃に加熱すれば純粋なものが得られる。工業的には,赤熱したコークスに空気や水蒸気を反応させて発生炉ガス,水性ガスとし,あるいは天然ガス(メタン)の部分酸化などにより合成ガスとして製造される。

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大辞林 第三版の解説

いっさんかたんそ【一酸化炭素】

無色・無臭の気体。化学式 CO 水に溶けにくい。木炭・燃料用ガスなどの不完全燃焼によって発生する。猛毒。血液中のヘモグロビンと結合し、その機能を失わせる。点火すると青い炎を出して燃え二酸化炭素になる。還元剤に用いる。メタノール・ホルマリンなどの製造原料。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

一酸化炭素
いっさんかたんそ
carbon monoxide

酸素が不十分な状態で、炭素または炭素化合物が燃焼するときや、二酸化炭素(炭酸ガス)を高温でコークスによって還元するとき生じる気体。ボンベ入り(ボンベの色は灰色)で市販されている。石炭、石油などを多量に消費する工場地帯の大気中では、かなりの量に達することもあり、自動車の排気ガス中にも含まれる。[守永健一・中原勝儼]

製造

工業的には、コークスまたは石炭を原料としてつくる。熱したコークスに空気を通すと、一酸化炭素と窒素の混合物(発生炉ガス)が得られ、また、水蒸気を通すと、一酸化炭素と水素との混合気体(水性ガス)が得られる。いずれも気体燃料である。
  2C+O2―→2CO(発生炉ガス法)
  C+H2O―→CO+H2(水性ガス法)
実験室では、ギ酸を濃硫酸中に滴下して脱水してつくるが、純粋なものはニッケルカルボニルNi(CO)4を200℃で分解して得られる。[守永健一・中原勝儼]

精製

水またはアルカリ水溶液で洗い、必要な場合は液化させてから分留する。また、塩化銅()のアンモニアアルカリ性溶液に吸収させてから、再発生させる方法もある。[守永健一・中原勝儼]

性質

無色無味の有毒気体で、無臭であるだけにたいへん危険である。高温では還元剤として働き、多くの金属酸化物を還元して金属を生成する。水に溶けにくい。常温、常圧では水酸化ナトリウム水溶液と反応しないが、高温高圧下では反応してギ酸塩となる。空気中で点火すると青白い炎をあげて燃え二酸化炭素となる。ハロゲン、硫黄(いおう)など非金属元素と結合する。また、高温で遷移金属元素と金属カルボニル(ニッケルカルボニルなど)とよばれる化合物をつくる。適当な温度、圧力、触媒などでいろいろな合成反応の原料となる。たとえば、水素との直接結合によりメタノール(メチルアルコール)、アルケンに対し水素とともに反応してアルデヒドを生じる。
 一酸化炭素の物理的性質は窒素ガスにたいへんよく似ている(原子価電子の総数が同じであることに注意)。一酸化炭素のC-O結合距離は113ピコメートルで、アルデヒドやケトンなどのカルボニル化合物のC-O距離122ピコメートル(二重結合)より短く、三重結合に近いものと考えられている。[守永健一・中原勝儼]

用途

発生炉ガス、水性ガスなどの主成分として工業用気体燃料、また金属の冶金(やきん)に還元剤として広く用いられる(溶鉱炉中の酸化鉄の還元Fe2O3+3CO―→2Fe+3CO2など)。一酸化炭素そのものやホスゲンCOCl2をつくり、これらを出発物質として各種化合物を合成することも重要な用途の一つとなっている。[守永健一・中原勝儼]

注意

毒性が強く、空気中での許容濃度は50ppmとされる。血液中のヘモグロビンと結合し、その作用を阻害するためである。また引火性が強く、空気と混合すると、きわめて爆発しやすい。[守永健一・中原勝儼]

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精選版 日本国語大辞典の解説

いっさんか‐たんそ イッサンクヮ‥【一酸化炭素】

〘名〙 酸素と炭素との化合物。化学式 CO 無色無臭の気体。木炭、石油などの不完全燃焼によって発生し、有毒。酸素と化合して炭酸ガスになる。有機物の合成原料、都市ガス、還元剤などに用いる。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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世界大百科事典内の一酸化炭素の言及

【ガソリンエンジン】より

… 現在,ガソリンエンジンは乗用車用エンジンをはじめ,オートバイ,小型のトラック,バスや特殊自動車,モーターボート,軽飛行機の原動機として利用されているほか,農林・水産・土木・建設・一般産業用の各種小型作業機の駆動にも広く用いられている。
[公害対策]
 ガソリンエンジンは現在小型の自動車駆動用として多数使用され,その排気ガス中に含まれる一酸化炭素CO,炭化水素HC,窒素酸化物NOxは大気汚染の原因としてきびしく規制されている。これらの成分の生成原因の概要は,COは燃料の不完全燃焼により,HCは燃焼室壁面での消炎,失火や,混合気の素通りにより生じ,またNOxは空気中の窒素と酸素が燃焼時の高温により反応して生成される。…

※「一酸化炭素」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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