日本大百科全書(ニッポニカ) 「本朝文選」の意味・わかりやすい解説
本朝文選
ほんちょうもんぜん
俳文集。許六(きょりく)編。10巻10冊。1706年(宝永3)刊、井筒屋庄兵衛板。刊行直後に支考らの意見で『風俗文選』と改題して再版、再版本には五冊本、九冊本がある。芭蕉(ばしょう)(16編)をはじめとして、許六(32編)、支考(13編)ら蕉門俳人29人の俳文、総計116編を、中国の『文選』や『古文真宝(こぶんしんぽう)』に倣い、辞・賦・説・頌(しょう)など21類の文体ごとに分類して編集したもの。芭蕉の「幻住庵記(げんじゅうあんのき)」「柴門辞(さいもんのじ)」をはじめ、高雅荘重なるものあり、軽妙洒脱(しゃだつ)なるものあり、いずれも和文でありながら漢文の体にかなうことを理想としており、文章史上、俳文という一格を確立させたものとして、後世に決定的な影響を与えた。
[堀切 實]
『『古典俳文学大系10 蕉門俳論俳文集』(1970・集英社)』