朝日日本歴史人物事典 「本松斎一甫」の解説
本松斎一甫(初代)
生年:生年不詳
幕末維新期,浅草に住んだ遠州流下谷派の挿花師匠。江戸小川町猿楽の生まれ。本名海野市郎右衛門。旗本森川出羽守の家来といわれる。江戸中期以降,遠州流を名乗る花道各派があるが,これは高名な大名茶人小堀遠州の名にあやかったものであろう。遠州流下谷派の祖は日寛上人こと本松斎(唐松斎)一得といわれ,一甫の以前に本松斎一鯨を称える3人の花人がいるが,一得,一鯨,一甫たちが業学したはずの当時の遠州流の花論や技法,伝習心得については,何ひとつ定かでない。明治時代に9代本松斎一甫の活躍が目立つ。昭和14(1939)年に中居一伯が,家元14世を継承している。
(岡田幸三)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報