朝日日本歴史人物事典 「杉村直記」の解説
杉村直記
生年:寛保1.11.22(1741.12.29)
江戸中期の対馬府中藩家老。父は大蔵,母は江戸の山田氏という。諱は蕃祐。一時期采女,大和,長門,伊勢などとも称した。明和3(1766)年江戸出府,天明8(1788)年に帰国するまで江戸家老として活動。朝鮮貿易衰退に伴う藩財政の窮状を江戸幕府に訴え,明和7年以降は毎年銀300貫を,安永5(1776)年以降は毎年金1万2000両を拝領するなど,しばしば幕府からの補助獲得に成功した。しかし朝鮮通信使聘礼の形態変更を意図する松平定信が老中になると,その障害として忌避され,帰国・隠居を余儀なくされた。さらに,易地聘礼を巡り府中藩内での意見対立が表面化すると,反易地派の領袖と目され,文化3(1806)年幕命により江戸に召喚。取り調べ中病死した。
(鶴田啓)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報