長崎県(読み)ながさきけん

精選版 日本国語大辞典 「長崎県」の意味・読み・例文・類語

ながさき‐けん【長崎県】

九州北西部の県。肥前国の西半分および壱岐・対馬の二国にあたる。明治四年(一八七一)の廃藩置県により、平戸・大村・島原・福江・厳原(いずはら)の五県が置かれたが、同年、厳原を除く四県が合体して長崎県が成立。同五年厳原を再編入、同九年三瀦(みずま)県の肥前二郡を合併、さらに同一六年佐賀県を分離して現在の県域が定まる。県庁所在地は長崎市。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「長崎県」の意味・読み・例文・類語

ながさき‐けん【長崎県】

長崎

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「長崎県」の解説

長崎県

自然と歴史地理的景観

〔自然的条件〕

島弧と称される日本列島に属するものの、中国大陸的な環境に近い、というのが長崎県の自然の特徴である。五島列島や壱岐島などには中国大陸の内陸部にみられるアルカリ岩質マグマによる火山が多く、地殻変動や火山・地震活動の活発な日本列島と異なった性格をみせる。また太平洋の南海トラフの軸から島原半島が三〇〇キロ、対馬島は四五〇キロの位置にあり、日本列島のほとんどが海溝などのプレート境界から三〇〇キロ以内であるのと好対照をなす。中国大陸および朝鮮半島との間には大陸棚(水深一〇〇メートル以内)が広がり、日本列島がユーラシア大陸から分離して島弧を形成したとき(約一七〇〇万年前および約六〇〇万年前)、北西九州は蝶番のような位置にあって、大陸から大きく離れることがなかった。その蝶番であり、朝鮮半島に近い対馬から見るとき、日本海の西方に朝鮮半島・中国大陸が広がり、東方に日本列島が連なっているのである。

県の面積は四〇九二・〇四平方キロであるが(北海道の約二〇分の一)、海岸線の総延長は四一六五キロで全国一(北方領土を除いた場合)となっている。それは面積で県全体の四五パーセント弱に及ぶ島々、九七一ヵ島(全国の一四パーセント相当で、最多)の存在によるところが大きい。北に対馬島・壱岐島・おお島・たか島など、西に生月いきつき島・たく島・平戸島があり、その南西方に五島列島が連なり、さらに南方に男女だんじよ群島が浮ぶ。離島面積は鹿児島県に次ぎ、その数は五島が一四七、壱岐が二一、対馬が一〇九、佐世保させぼ・平戸地方が一七二、それ以外の長崎・島原・西彼杵にしそのぎ地方などが一三五となっている。これらのうち五一三島は無人島である。北松浦きたまつうら半島と島原半島にある同じ名称の九十九島(くじゅうくしま・つくもしま)は、島の多い地勢をよく表現している。

これらの島々を含めた行政区域は、最も東の島原市九十九島が東経一三〇度二三分二一秒、同じく西の福江ふくえとり島が東経一二八度六分二一秒、南の福江市島が北緯三一度五八分五九秒、北の上対馬町きたが北緯三四度四三分二四秒。経度幅はほぼ二〇〇キロ、緯度幅は三〇〇キロとなり、九州本島の経度・緯度の範囲に匹敵するものとなっている。島ばかりではない。大村湾(琵琶湖のほぼ半分)を囲む西彼杵半島、天草あまくさ灘に突き出す長崎半島、たちばな湾と有明海に挟まれた島原半島、北部の北松浦半島などはもとよりさらに数多くの半島状地形がみられ、内湾や入江などの多い海岸線を形成している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「長崎県」の意味・わかりやすい解説

長崎〔県〕
ながさき

面積 4130.98km2
人口 131万2317(2020)。
年降水量 1857.7mm(長崎市)。
年平均気温 17.2℃(長崎市)。
県庁所在地 長崎市
県木 ツバキヒノキ
県花 ミヤマキリシマウンゼンツツジ)。
県鳥 オシドリ

九州の北西端にある県。東は佐賀県に接し,三方は東シナ海に面する。五島列島,壱岐,対馬,平戸諸島等有人島約 80,無人島約 500を含み,島嶼群の面積は県総面積の約 45%を占める。本土側は北松浦,西彼杵,島原,長崎の4半島と多良岳火山群地区から成る。諫早,大村の小平野を除いて低地は少い。島原半島 (雲仙岳) ,多良岳火山群を除くと丘陵性の山地が広く,北松浦,五島,壱岐では玄武岩の溶岩におおわれている。気候は温暖で,長崎,島原両半島,五島列島の南端部には亜熱帯性植物が分布している。かつての肥前国の一部と対馬国壱岐国にあたり,古くから大陸との交通の要地にあって,遺跡が多い。江戸時代にも朝鮮,中国,ポルトガル,オランダなどとの貿易のために開かれた厳原 (対馬) ,平戸 (平戸島) ,長崎などの開港場があった。またキリスト教布教の中心地でもあったため島原の乱その他の殉教者の悲史も多い。江戸時代,長崎とその周辺は天領,そのほかは平戸,大村,五島,対馬,島原各藩と佐賀の支藩で分割統治されていた。明治4 (1871) 年長崎県が成立し,その後5回にわたる県域の変更を経て 1883年に現在の県域が確立。低地と小河川の流域を除くと大部分が山林と畑作地で,農業では畑地が広く,米,ムギ類,サツマイモに加えて,近年ではミカン,ビワ,葉タバコの産出と畜産が増加し,特に離島および県北部における肉牛の飼育は重要な産業となっている。好漁場に近く,自然の良港に恵まれ,以西底引網,揚繰 (あぐり) 網,一本釣り,定置網と真珠などの養殖が行われる。長崎市は西日本最大の漁港。明治以降隆盛をきわめた石炭産業は 2001年 11月の池島炭鉱閉山をもって終焉を迎えた。造船業が基幹産業であったが,近年の世界的造船不況により,食品,繊維などの工業に転換がはかられている。伝統工業には波佐見,三川内 (みかわち) などの陶磁器がある。西海国立公園雲仙天草国立公園壱岐対馬国定公園および6つの県立自然公園があり,景勝地が多い。雲仙などの温泉のほか多くの歴史的観光資源にも富む。天然記念物のツシマヤマネコ,ツシマテン,ヒトツバタゴなどの貴重な動植物がみられる。 1990年に雲仙普賢岳が 200年ぶりに噴火,91年には雲仙,島原一帯に多大の被害をもたらした。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

事典 日本の地域ブランド・名産品 「長崎県」の解説

長崎県

九州地方西北部に位置する県。東には島原半島が突出し有明海に面する。南には長崎半島が天草灘にのぞむ。西海上には五島列島、西北海上には壱岐・対馬がある。平地が少なく、山岳・丘陵地が多い。また、多くの半島や岬と湾、入江から形成される複雑な地形をしている。気候は温暖。水産業・造船業が盛ん。県花は、雲仙ツツジ。県木は、ツバキ・ヒノキ。県鳥は、オシドリ。県獣は、九州シカ。

[長崎県のブランド・名産品]
阿翁石工製品 | 紅大根 | 壱岐鬼凧(壱州鬼凧) | 壱岐焼酎 | かすまき | からすみ | かんころ餅 | 九十九島かき | 古賀人形 | 五島うどん,五島手延うどん | 五島さんご | 五島ばらもん | ごんあじ | 佐世保独楽 | ざぼん漬 | 島原手延そうめん | 値賀咲 | 対馬満山釣針 | 長崎赤かぶ | 長崎あご | 長崎アスパラ | 長崎大玉 | 長崎カステラ | 長崎さちのか | 長崎じゃが | 長崎たかな | 長崎手打刃物 | 長崎とらふぐ | 長崎長なす | 長崎はくさい | 長崎凧とビードロよま | 長崎べっ甲 | 長崎みかん | 長崎和牛 | 野母んあじ | 波佐見焼 | 三川内焼 | 茂木びわ | 若田石硯

出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」事典 日本の地域ブランド・名産品について 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「長崎県」の解説

長崎県
ながさきけん

九州の北西端に位置する県。旧肥前国の南西部と壱岐・対馬両国を県域とする。1868年(明治元)旧幕領を管轄する長崎裁判所がおかれ,まもなく長崎府と改称,ついで天草県を合併し,翌年長崎県となった。同年府中藩は厳原(いずはら)藩と改称。71年廃藩置県により島原・平戸・福江・大村・厳原の5県が成立し,同年11月厳原県は佐賀県と合併して伊万里(いまり)県に,他の各県は長崎県に統合され,同時に天草郡を八代(やつしろ)県に移管した。72年伊万里県から旧厳原県および肥前国高来(たかく)郡・彼杵(そのぎ)郡の一部が編入された。76年三瀦(みずま)県が廃止され旧佐賀県域を併合したが,83年佐賀県が再置され,現在に至る。県庁所在地は長崎市。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android