李邕(読み)りよう(その他表記)Li Yong

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「李邕」の意味・わかりやすい解説

李邕
りよう
Li Yong

[生]上元2(675)/儀鳳3(678)
[没]天宝6(747)
中国,唐の文人書家。揚州江都 (江蘓省) ,一説に広陵江夏 (湖北省) の人。『文選』の注者李善の子。字は泰和。北海の太守となったので李北海と称した。王羲之の書法を学んで独自の書体を開く。豪放な性格を反映し剛健で個性の強い書風で,碑文を得意とした。生涯に 800以上の碑文を書いたと伝えられる。文人としての名声をねたまれ,宰相李林甫に殺された。主要作品『雲麾将軍李思訓碑』『麓山寺碑』『少林寺戒壇碑』など。ほかに詩文集『李北海集』がある。

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世界大百科事典(旧版)内の李邕の言及

【書】より

…その代表作に,楷書の《多宝塔碑》《麻姑仙壇記》《顔氏家廟碑》などがあり,行草の《祭姪文稿》《祭伯文稿》《争坐位帖》はとくに有名で,三稿と呼ばれている。顔真卿より少し前に,李邕(りよう)(678‐747)が王羲之の書風を学んで多くの行書碑を書き,また顔真卿以後では,柳公権が顔真卿の書を受けついで,さらに勁媚な書風を築き,当時の貴族社会にもてはやされた。五代になると,唐の中ごろに起こった革新的な潮流はやや停滞したが,ひとり楊凝式(ようぎようしき)が現れ,懐素,顔真卿などの影響を受けて縦逸な草書に特色を発揮した。…

※「李邕」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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