改訂新版 世界大百科事典 「来馬植物群」の意味・わかりやすい解説
来馬植物群 (くるましょくぶつぐん)
長野,新潟,富山の3県にまたがる山岳地帯に分布する下部ジュラ系来馬層群(およそ1億7000万年前)とよばれる地層中に含まれている化石植物の総称。各種のトクサ,シダ,ソテツ葉類,イチョウ,球果類の化石がみごとに保存されている。来馬植物群は,三畳紀後期の植物群(日本では大嶺・成羽両植物群)とくらべ,ヤブレガサウラボシ科のシダが少なくなり,新しい形のベネチテス類が出現するなど,その組成はかなり異なり,中国大陸の長江(揚子江)沿いに広く分布する同時期の香渓植物群の組成によく似ている。
群馬県北部の岩室植物群,岡山県北部の山奥植物群も同時期,同組成のものである。来馬の名は,長野県北安曇郡小谷村の地名であるが,来馬層群の分布は広く富山県側に広がり,来馬植物群の大部分は,富山県下新川郡朝日町大平川上流地域に分布する来馬層群から知られたものである。
執筆者:木村 達明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報