日本大百科全書(ニッポニカ) 「松山文雄」の意味・わかりやすい解説
松山文雄
まつやまふみお
(1902―1982)
洋画家、漫画家、童画家、美術評論家。長野県生まれ。小学校卒業で上京、大正末期に押し寄せていた前衛美術の影響からプロレタリア美術運動に参加、社会主義的な油絵と社会風刺的な漫画を描いた。そのかたわら絵雑誌『コドモノクニ』などに童画を描き、1932年(昭和7)にはリアリズム童画を標榜(ひょうぼう)する新ニッポン童画会を結成。また、童画・漫画の批評にも優れていた。童画家前島ともはその夫人。作品集に『画集まつやまふみおの世界』(1975)、自伝に『赤白黒』(1969)、評論に『新しい漫画・童画・版画の描き方』(1949)、『柳瀬正夢』(1956)などがある。
[上笙一郎]
『松山文雄・岡本唐貴著『日本プロレタリア美術史』(1967・造型社)』