朝日日本歴史人物事典 「松森胤保」の解説
松森胤保
生年:文政8.6.21(1825.8.5)
幕末明治期の武士,博物家。鶴岡の庄内藩士長坂家に生まれる。通称は欣之助,号は南郊,のち松森に改姓。39歳で支藩松山藩(山形県松山町)の家老となり,幕末の江戸薩摩藩邸焼き打ち(1867)や戊辰東北戦争(1868)で同藩兵を指揮。維新後は地方政治と初等中等教育に携わるとともに,考古学・博物学で活躍した。主著は『両羽博物図譜』で,正確な描画と豊富な記述,独自の分類が特色である。うち禽類図譜は50年の探鳥歴の集大成で,十余の日本初記録種を含む鳥学史の重要資料。ほかに『北征記事』や『弄石余談』などの著作がある。徹底的に収集し,かつ体系を求める姿勢は日本人には珍しい。
(磯野直秀)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報