松花堂およびその跡(読み)しょうかどうおよびそのあと

国指定史跡ガイド 「松花堂およびその跡」の解説

しょうかどうおよびそのあと【松花堂およびその跡】


京都府八幡(やわた)市八幡女郎花(おみなえし)にある坊舎と、同八幡高坊にあるその旧跡。寛永の三筆の一人とされて絵画にも秀でた松花堂昭乗(しょうじょう)の遺構とその遺跡である。昭乗は17歳で男山石清水(いわしみず)八幡宮の社僧となり、滝本坊実乗(じつじょう)に仕えて真言密教をおさめ、阿闍梨(あじゃり)法印の位についたが、その師、実乗が住持となった滝本坊を継ぎ、のちに弟子の乗淳(じょうじゅん)に譲って泉坊に入った。滝本坊には小堀遠州や石川丈山(じょうざん)、木下長嘯子(ちょうしょうし)、江月宗玩(こうげつそうがん)、沢庵宗彭(たくあんそうほう)など、多くの文人墨客が訪れたが、その後、泉坊を松花堂と改称して閑居し、みずからも松花堂と号した。泉坊跡は滝本坊跡東の比較的急な崖の下にあって、参道の西側に接し、松花堂は階段状に整地された坊域の北部に設けられて、現在もその跡をとどめ、井戸が残っている。建物は1868年(明治1)の神仏分離の際に撤去されて3度移転した。宝形造りの屋根で、方約1間半、2畳の主室に小屋や土間などがあり、持仏堂に茶屋を加味したもので、簡素なしつらいながら風雅な趣を備えている。1957年(昭和32)に国の史跡に指定された。京阪電鉄京阪本線樟葉(くずは)駅から京阪バス「大芝・松花堂前」下車、徒歩すぐ。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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