20世紀日本人名事典 「林 不忘」の解説
林 不忘
ハヤシ フボウ
大正・昭和期の小説家,翻訳家
- 生年
- 明治33(1900)年1月17日
- 没年
- 昭和10(1935)年6月29日
- 出生地
- 新潟県佐渡郡相川町(佐渡島)
- 本名
- 長谷川 海太郎(ハセガワ ウミタロウ)
- 別名
- 別筆名=谷 譲次(タニ ジョウジ),牧 逸馬(マキ イツマ)
- 学歴〔年〕
- 函館中〔大正6年〕中退
- 経歴
- 大正7年渡米、オハイオ・ノーザン大学に籍を置き各地を放浪、13年帰国。14年谷譲次の筆名で「ヤング東郷」を書き、つづいて林不忘の筆名で探偵雑誌に時代物を書いて文名を認められた。さらに牧逸馬の筆名で海外推理小説の翻訳や通俗小説を書いた。谷譲次名ものに「テキサス無宿」「めりけんじゃっぷ商売往来」「もだん・でかめろん」など“めりけんじゃっぷもの”がある。昭和2年から東京日日新聞に「新版大岡政談」(林不忘名)を連載し大衆文壇の花形作家となる。同年外遊。帰国後の5年東京日日新聞に長編小説「この太陽」「七つの海」を連載、さらに婦人雑誌に進出して7年から「地上の星座」(牧逸馬名)を連載、大ヒットした。時代小説では「丹下左膳」(林不忘名)が人気を博し、片目片腕の怪剣士は大河内伝次郎の映画とともに記憶される。また「世界怪奇実話」(牧逸馬名)では実録小説の分野を開拓するなど、一人数役をこなし、“文壇のモンスター”といわれた。作品は「一人三人全集」(全6巻 河出書房新社)に収められている。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」（2004年刊）20世紀日本人名事典について 情報