枲垂衣(読み)むしのたれぎぬ

精選版 日本国語大辞典 「枲垂衣」の意味・読み・例文・類語

むし‐の‐たれぎぬ【&JISF3CB;垂衣・&JISEAA7;】

  1. 〘 名詞 〙 笠の周辺に垂らす布。平安時代から鎌倉時代にかけて用いられた。苧(からむし)繊維で織った薄い布で、婦人外出の際に、顔を見られないようにするため、また、男性山路を行く時に虫などを防ぐため、などという。室町時代頃は装飾化して布の縫い合わせ目に色紐で総角(あげまき)に結び垂らすふうにもなった。むしたれ。むし。
    1. 枲垂衣〈信貴山縁起〉
      枲垂衣〈信貴山縁起〉
    2. [初出の実例]「草ふかみむしのたれぎぬ結ひあげてとをりわづらふ夏の旅人〈藤原季能〉」(出典:夫木和歌抄(1310頃)九)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android