柚井遺跡(読み)ゆいいせき

日本歴史地名大系 「柚井遺跡」の解説

柚井遺跡
ゆいいせき

[現在地名]多度町柚井 一番割

多度山の東麓、柚井集落の北端さかい川に注ぐ小川と県道に囲まれた三角地帯にある。昭和三年(一九二八)耕地整理に際し発見された平安時代を中心にした泥炭層遺跡で、面積は約六万平方メートル。遺跡状況は、正式発掘調査が行われていないので明確でないが、土器片などを包含する貝層と木製品などを出土する泥炭層部から成立っているようである。

遺物のうち「長年大宝」の貨幣は平安初期の嘉祥元年(八四八)鋳造のものである。県下では珍しい出土木簡「桜樹郷守部春□□□□一斛」と「桜樹郷□頭守部口代米一石 」それに判読不能の残欠の三点が出土した。桜樹さくらぎ郷は「和名抄」の「美濃国石津郡桜樹郷」で、現岐阜県養老ようろう上石津かみいしづ町の辺りである。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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