国指定史跡ガイド 「柴屋寺庭園」の解説
さいおくじていえん【柴屋寺庭園】
静岡県静岡市駿河区丸子にある庭園。連歌師宗祇(そうぎ)の高弟で、今川義忠・氏親(うじちか)に仕えた宗長(そうちょう)(1448~1532年)が晩年に結んだ草庵(柴屋軒(さいおくけん))を、今川氏親が寺に改めたと伝えられる。別名を吐月峰(とげっぽう)柴屋寺ともいい、東海道五十三次の17名所の一つで、庭園は庭前方の丸子富士や天柱山などを借景とし、茶室の窓越しに見る月は風情があって、立石なども変化に富んでいる。庭園は宗長が京都の東山銀閣寺の庭を模した自作のもので、園内には築山があり、宗長が腰をかけて月が昇るのを眺めたという月見石の後ろには、宗祇と宗長の墓が並んでいる。1936年(昭和11)に国の名勝・史跡に指定され、1956年(昭和31)には滝囲いと表門の一帯が追加指定されたが、これは吐月峯周辺の環境変化がめだってきたことにより、寺裏の山林や借景として欠かせない天柱山を保護するためである。JR東海道新幹線ほか静岡駅からしずてつバス「吐月峰入口」下車、徒歩約10分。