栃本関跡(読み)とちもとのせきあと

国指定史跡ガイド 「栃本関跡」の解説

とちもとのせきあと【栃本関跡】


埼玉県秩父市大滝にある関所跡。奥秩父の山峡を通る秩父往還に面し、背後は急斜面の林、前面は眼下に荒川の溪谷を望む場所にある。栃本は東海道箱根、中山道横川の両関所の中間にあり、江戸から甲州・信州への交通の要所にあたる。江戸初期から明治維新まで、大村家が代々関守をつとめた。関所は文政年間(1818~30年)の2度の火災によって、居宅・御番門・板矢来・柵木・高札などを焼失したため、現存のものはその後に建て替えられたもので、木造瓦葺き切り妻造り、一部2階建てとなっている。かつては平屋で屋根も板葺きであり、玄関の間・中の間・上段の間と外縁、またこれと区画される居間いろりの間・台所の私宅部分は、江戸時代の関守屋敷の様相をとどめ、御番門・矢来・柵木などの旧位置も絵図によってわかることは貴重である。1970年(昭和45)に国の史跡に指定された。秩父鉄道三峰口駅から西武観光バス「栃本」下車、徒歩すぐ。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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