栗ノ木峠(読み)くりのきとうげ

日本歴史地名大系 「栗ノ木峠」の解説

栗ノ木峠
くりのきとうげ

国見くにみ山の南、佐賀県西有田にしありた町境にある峠。江戸時代は東が肥前佐賀藩領、西は平戸藩領の境目であった。戦国期、相神あいこ浦の飯盛いいもり城の勢力と、東の有田唐船とうせん(現西有田町)の勢力の拮抗する境目で、元亀二年(一五七一)唐船城の進攻を通報しようとした山本右京とその妻子がこの峠を通るときお産をしたが、母子ともに死んだといい、里人がその霊を弔ったと伝える(松浦旧記)。領境の安泰、街道安全、病除けのオサヨ観音堂が建立され、観音堂の石碑によれば、直谷なおや(現吉井町)城主の志佐純昌の姫が島原に逃げる途中で追手に殺害されたとあり、里人がその悪霊を鎮めるため天明五年(一七八五)に建立したという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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