日本歴史地名大系 「佐世保市」の解説 佐世保市させぼし 面積:二四八・三〇平方キロ県の北部に位置する。北部は北松浦(きたまつうら)郡小佐々(こざさ)町・佐々(さざ)町・吉井(よしい)町・世知原(せちばる)町、北東部は佐賀県西松浦郡西有田(にしありた)町・有田町、南東部は東彼杵(ひがしそのぎ)郡波佐見(はさみ)町・川棚(かわたな)町、南西部は西彼杵郡西海(さいかい)町・西彼(せいひ)町と接する。南部は大村湾北部を限る針尾(はりお)島で、この島の北西側に佐世保湾があり、その西方は五島灘に続く。海岸部はリアス海岸で各所に岬や半島状地形を形成し、入江や島々で複雑な景観をみせる。西部は西海国立公園の南九十九(みなみくじゆうく)島で、佐世保湾には俵(たわら)ヶ浦・庵(いお)ノ浦のある小半島、崎辺(さきべ)・東浜(ひがしはま)のある崎、早岐(はいき)瀬戸や針尾瀬戸を形成する針尾島などがある。ほかに大村湾に大(おお)島(面積〇・四平方キロ)・横(よこ)島、佐世保湾内の東浜沖に高(たか)島(面積二・九五一平方キロ)、同湾の西方に黒(くろ)島・元(もと)島・牧(まき)島(面積〇・二三平方キロ)・松浦(まつら)島・桂(かつら)島・黒子(くろこ)島・金重(かなしげ)島などがある。北東部に八天(はつてん)岳(七〇七・一メートル)・隠居(かくい)岳(六六九・八メートル)がそびえ、東部の佐世保富士と通称される烏帽子(えぼし)岳(五六八・一メートル)、西部の将冠(しようかん)岳(四四五・四メートル)・弓張(ゆみはり)岳(三六四メートル)などが市街地を囲み、山脚が海岸部に迫る。おもな河川は東から小森(こもり)川・日宇(ひう)川・佐世保川・相浦(あいのうら)川などがあり、北東部から西流する市域最長の相浦川(流路延長二〇・一三キロ)は西部で南に流れを変えて九十九島の海に注ぐ。JR佐世保線・同大村線および松浦鉄道が通り、国道三五号・同二〇二号・同二〇五号のほか、主要地方道の佐世保―吉井―松浦線・佐世保―日野(ひの)―松浦線・佐世保―伊万里(いまり)線などが通る。〔原始・古代〕約二万五千年前の旧石器時代の遺跡が烏帽子岳親子(おやこ)堤などに集中している。相浦川流域の泉福寺(せんぷくじ)洞穴では旧石器時代終末期の細石器文化層中から約一万二千年前の世界最古の豆粒文土器が発見された。この流域の岩下(いわした)洞穴は約一万年前の縄文時代早期を中心とする遺跡で、埋葬人骨二九体(すべて屈葬)が検出され、出土遺物は石鏃・石槍が多く、狩猟をおもな生業としていたようである。これに対して下本山(しももとやま)岩陰遺跡では縄文時代前期から弥生時代にかけての生活跡がみられ、漁労活動を示す多量の貝類・魚骨が堆積しており、また当時は海岸部であったことをうかがわせる。高島の宮(みや)ノ本(もと)遺跡は縄文時代前期から古墳時代までの複合遺跡で、弥生時代の大規模な墓地から箱式石棺と四〇体余の埋葬人骨が発見され、また奄美(あまみ)大島以南でしか採れないイモ貝の貝輪を装着した人骨から南海との交易が知られる。 佐世保市させぼし 2006年3月31日:佐世保市が北松浦郡宇久町・小佐々町を編入⇒【佐世保市】[変更地名]長崎県⇒【小佐々町】長崎県:北松浦郡⇒【宇久町】長崎県:北松浦郡 佐世保市させぼし 2010年3月31日:佐世保市が北松浦郡鹿町町・江迎町を編入⇒【佐世保市】[変更地名]長崎県⇒【鹿町町】長崎県:北松浦郡⇒【江迎町】長崎県:北松浦郡 佐世保市させぼし 2005年4月1日:佐世保市が北松浦郡世知原町・吉井町を編入⇒【世知原町】長崎県:北松浦郡⇒【吉井町】長崎県:北松浦郡⇒【佐世保市】長崎県 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「佐世保市」の意味・わかりやすい解説 佐世保〔市〕させぼ 長崎県北部,北松浦半島南部に位置し,佐世保湾,大村湾に臨む市。東部で佐賀県に接する。五島列島北方の宇久島と寺島を含む。1902年市制施行。1954年黒島村,柚木村,1955年折尾瀬村,江上村,崎針尾村,1958年宮村をそれぞれ編入。2005年世知原町,吉井町,2006年宇久町,小佐々町,2010年江迎町,鹿町町を編入。中心市街地の佐世保は明治初期には一寒村にすぎなかったが,1886年に海軍基地,1890年に海軍工廠が設置され,さらに炭鉱の開発,鉄道の開通によって急速に発展した。第2次世界大戦後も旧海軍基地にアメリカ軍基地,自衛隊基地が置かれ,依然基地の町の性格が強い。炭鉱は最盛期には 23を数えたが,1972年完全に閉山。北部には北松炭田(→佐世保炭田)があった。旧海軍工廠は民間の大造船企業,佐世保重工業となり,市の基幹産業となった。旧海軍跡地の針尾島工業団地など,市周辺では工業団地の造成が進み,食品加工業などが発達。早岐瀬戸にある早岐は市の南の玄関口で,工業団地,住宅団地が多い。相浦地区の真申(まさる)には火力発電所や工業団地がある。三川内(みかわち)では伝統の平戸焼が生産される。島嶼部や沿岸部では一本釣りや養殖漁業が行なわれる。小佐々ではいりこを特産。五島文化発祥の地と伝えられる宇久は五島牛の放牧で有名。アワビなどの摂取特権がある海士(あま)の集落がある。瀬戸越の泉福寺洞穴遺跡,吉井の福井岩陰,鹿町の大野台支石墓群は国指定史跡。南西沖の黒島(2018世界遺産の文化遺産に登録)には江戸時代の潜伏キリシタンの史跡が点在する。中心市街地周辺の弓張岳,烏帽子岳,石岳は平戸島,九十九島(くじゅうくしま),五島列島などを望む好展望地。石岳中腹には 1961年に開園した佐世保市亜熱帯動植物園がある。1992年大村湾に面した針尾島の埋立地にハウステンボスが開園。九十九島一帯は宇久島とともに西海国立公園に,市の北部は北松県立自然公園に属する。JR佐世保線,大村線,松浦鉄道のほか国道35号線,202号線,204号線などが通り,西九州自動車道のインターチェンジがある。針尾島の南端には西海橋がかかり,西彼杵半島と陸上交通で結ばれる。佐世保港から宇久島まではフェリーで結ばれ,鹿子前(かしまえ)から九十九島,平戸島などへ遊覧船が発着する。面積 426.01km2。人口 24万3223(2020)。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by