日本大百科全書(ニッポニカ) 「根小屋集落」の意味・わかりやすい解説
根小屋集落
ねごやしゅうらく
豪族屋敷村の関東地方の呼称。根古屋とも書く。室町時代から戦国時代にかけては、関東の土豪は、険しい山頂や丘陵を利用して城や館(やかた)を構えて軍事活動をしていたが、山麓(さんろく)や丘陵脚部には下人(げにん)・名子(なご)などの隷属百姓が集住し、それらに生活物資を供給するために市場が立てられ、商人や職人も集まっていた。そうした集落は関東では根小屋とよばれ、また堀の内、箕(み)の輪、寄居(よりい)、館(たて)など、中国・四国地方では土居(どい)、山下(さんげ)、九州では栫(かこい)、麓(ふもと)などとよばれていた。根小屋集落には、中心の土豪が強勢となって近世期には城下町に発展したものがあるが、多くは農村となって地名にその名を残すにとどまる。
[浅香幸雄]
『矢嶋仁吉著『集落地理学』(1956・古今書院)』▽『松本豊寿著『城下町の歴史地理学的研究』(1967・吉川弘文館)』▽『小林健太郎著『戦国城下町の研究』(1963・大明堂)』