美濃(みの)国(岐阜県)で漉(す)かれた和紙の一種。この名が初めて文献に現れるのは、京都北野神社の『当宮御社参記(とうぐうおんしゃさんき)』の1457年(長禄1)2月25日の日記で、それ以降の日記類にもしばしばみられる。岐阜県武儀(むぎ)郡中洞(なかほら)村西山口荘の四組(森下、杉下、西洞、中野)(現山県(やまがた)市)のなかの森下の原産であるため、この名がある。コウゾ(楮)を原料とする厚手の紙で、古くから傘紙に用いられ、1603年(慶長8)刊の『日葡(にっぽ)辞書』にも採録されている。のちには傘紙のことを森下と俗称するようにもなり、たとえば山県郡青波(あおなみ)村(現山県市)で漉かれる紙は青波森下とよばれた。この技術は隣国の三河国(愛知県)にも伝えられ、現在では豊田(とよた)市にある「足助屋敷」で漉かれている。
[町田誠之]
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