森港桟橋(読み)もりこうさんばし

日本歴史地名大系 「森港桟橋」の解説

森港桟橋
もりこうさんばし

明治五年(一八七二)森村海岸に設置された桟橋。同年三月開拓使によって札幌本道の開削工事が亀田かめだ(現函館市)から開始されたが、森から室蘭へは海路をとるため桟橋が設置された。工事を請負った平野弥十郎は「夫より森村へ旅宿を転し、森村海岸木製波戸場建築に従事す、是ハ先に教師メジヨル宿野辺に滞在の時、我に示されたる図面仕様に依て其入費積り立て、東京伺済に成り着手する、此請負人は加納方にて、波戸場長今年七拾五間、後亦弐拾五間を増し百間となす上、幅弐拾尺木製にして、杭間小石詰成り、杭はパイリン器械を用て打立る」(平野弥十郎日記)と記し、さらに「榎本氏我に言ふハ、此波戸場の杭木にテール(松より取る油)を塗りて打込ミなば永久保ち宜し、然れども此地に今テール無し、鷲の木村に石炭油の涌き出る小沼有る事先年見置たり、其石油を取りて杭にぬりたらんには、舟虫の喰切るうれひなく、且保ち方に利益有るべし」(同日記)とあって、工事の様子が判明する。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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