桟橋
さんばし
pier
landing pier
船舶を係留する係船施設の一種で、脚柱構造物に桁(けた)を渡し、その上に床版を張る形式をもつもので、岸壁とは構造的相違があるだけで機能的には変わりはない。平面形状では、陸岸から直角に突き出し幅広い桟橋構造とする突堤桟橋と、陸岸に接して桟橋を平行につくる横桟橋、陸岸から離れた適当な水深の所に幅の狭い桟橋を設ける島桟橋とがある。また脚柱の構造により杭(くい)式、筒柱式、橋脚式に分類される。
桟橋は軽量構造であるため、軟弱地盤の箇所にも適しており、耐震構造をとることも比較的容易である。岸壁と異なり前面水深を増加する措置がとりやすく、水流を妨げず反射波を抑制するので港内の動揺を小さくさせる。しかし、船舶が接岸するときの衝撃に対しては比較的弱く、防衝工の検討が必要であり、また荒天時の波で上部の床版に下から揚圧力が作用し、被害を受けやすい。一般に埠頭(ふとう)の単位面積で工費を比較すると、桟橋は割高となる。
[堀口孝男]
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さん‐ばし【桟橋】
〘名〙
① 船をつないで、人の
乗り降りや荷物の
上げ下ろしに使うために、岸から水上に突き出した木、鉄、鉄筋コンクリートなどでつくった橋。さんきょう。
※洒落本・遊子方言(1770)発端「そんなら、山本のさん橋へつけろ」
② 谷などを渡るために足場を組んで作る橋。高架橋。〔五国対照兵語字書(1881)〕
※忘れえぬ人々(1898)〈国木田独歩〉「阿蘇山の白煙を目がけて霜を踏み桟橋(サンバシ)を渡り」
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桟橋
さんばし
pier
船舶の係留,貨物の積卸しや船客の昇降に利用する埠頭の一種。海面へ降ろした脚体に桁を渡し,床板を張ったものであるから,岸壁と違ってその下は海水が自由に出入りする。なお潮の干満差が大きい場合には,桟橋自体を水面に浮かべる浮桟橋構造をとることもある。
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桟橋【さんばし】
船を接岸・係留するための構造物で,水中に立てた脚部に床を張ったもの。岸から直角または斜めに突き出し,その両側に係船するのが普通。軟弱地盤にも適し,地震に強いが,船による衝撃にやや弱い。ほかにポンツーン(浮箱)を並べた浮桟橋がある。→岸壁
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デジタル大辞泉
「桟橋」の意味・読み・例文・類語
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さんばし【桟橋 pier】
船を接岸係留して乗客の乗り降り,貨物の積卸しを行うための構造物。主として,木材,鋼材,鉄筋コンクリート製の杭で作られる脚柱と,これで支えられた床版および陸岸の護岸とを結びつける渡橋とからなり,直接背後の地盤を支え,海岸側を垂直面にして船を接岸できるようにした岸壁や物揚場とは異なる。桟橋のうち陸岸に平行なものを横桟橋shore‐bridgeといい,横桟橋の渡橋が長い場合にはデタッチトピアdetached pierと呼ぶ。
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