ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「森繁久彌」の意味・わかりやすい解説
森繁久彌
もりしげひさや
[没]2009.11.10. 東京
俳優。映画や舞台,テレビジョン,ラジオと幅広く活躍した。早稲田大学在学中に演劇活動に参加し,1936年に同大学を中退,東京宝塚劇場に入る。1939年日本放送協会 NHKに入局,アナウンサーとして中国東北部の満州に赴く。1946年に帰国,1950年に NHKのラジオ番組『愉快な仲間』のレギュラーに起用され,その才能を高く評価された。同年,喜劇『腰抜け二刀流』で映画初主演を果たし,喜劇『三等重役』(1952)が出世作となる。その後,演技派として認められた『夫婦善哉』(1955),『猫と庄造と二人のをんな』(1956),「社長」シリーズや「駅前」シリーズ,『恍惚の人』(1973)などの映画,『七人の孫』『ドラマ・人間模様 赤サギ』などのテレビドラマに多数出演,軽妙でありながらペーソスあふれる演技で実力派俳優としの地位を確立した。舞台でも活躍し,1962年に森繁劇団を創設した。代表作に『佐渡島他吉の生涯』(1959),『孤愁の岸』(1983,初演)。1967年初演のミュージカル『屋根の上のバイオリン弾き』では主人公テビエ役を 1986年まで 900回務めた。また,NHKのラジオドラマ『日曜名作座』に,1957年から 40年以上にわたり出演。2004年まで俳優活動を続けた。1974年菊池寛賞,1987年勲二等瑞宝章,1991年文化勲章,没後の 2009年12月に国民栄誉賞を授与され,従三位に叙された。
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