恍惚(読み)コウコツ

デジタル大辞泉 「恍惚」の意味・読み・例文・類語

こう‐こつ〔クワウ‐〕【××惚】

[ト・タル][文][形動タリ]
物事に心を奪われてうっとりするさま。「恍惚として聴き入る」「恍惚境地
意識がはっきりしないさま。
将軍はすでに疲れ切っていた…精神も次第に―となるほどだった」〈藤村夜明け前
老人の、病的に頭がぼんやりしているさま。有吉佐和子著「恍惚の人」(昭和47年)により流行した。
[類語](1うっとり酔う酔いれるひた陶酔する陶然とろけるしびれる/(3老いる老ける老い込む老け込む年老いる老いさらばえる老いぼれる老い早老老化老残老衰よぼよぼけるほうける

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精選版 日本国語大辞典 「恍惚」の意味・読み・例文・類語

こう‐こつクヮウ‥【恍惚・慌惚】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動ナリ・タリ )
  2. 物事に心を奪われてうっとりすること。物事に見とれたり、聞きほれたりしてうっとりすること。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「彳亍神泉物候、心神怳惚不帰」(出典:性霊集‐一(835頃)秋日観神泉菀)
    2. 「数日の間、恍惚として」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉四)
    3. [その他の文献]〔礼記‐祭義〕
  3. 頭などがはっきりしないこと。物忘れが激しいこと。ぼんやりしていること。また、そのさま。〔病論俗解集(1639)〕
    1. [初出の実例]「夢と現実の境界にある恍惚の世界に魂を浮ばせているようだった」(出典:恍惚の人(1972)〈有吉佐和子〉一四)

恍惚の補助注記

昭和四七年(一九七二)の有吉佐和子著「恍惚の人」によって、老年痴呆症(認知症)についていうことが流行した。

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世界大百科事典(旧版)内の恍惚の言及

【エクスタシー】より

…意識水準が低下して主体的な意志による行動の自由を失い,忘我状態となるか,苦悶,歓喜,憂愁などの気分を伴う恍惚状態になること。宗教における神秘的体験や,性的恍惚感も含む。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」