植民地再分割(読み)しょくみんちさいぶんかつ(その他表記)redivision of colonies

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「植民地再分割」の意味・わかりやすい解説

植民地再分割
しょくみんちさいぶんかつ
redivision of colonies

19世紀末の 30年間は「世界分割」の時代といわれ,20世紀の初めまでにアジア,アフリカの大部分が植民地,半植民地として列強によってほぼ分割されてしまった。この世界分割の先頭に立ったイギリスは,1914年には世界陸地面積の4分の1を支配し,さらに帝政ロシアは6分の1,フランスは 12分の1を支配した。その後,後発の工業国であるアメリカドイツ日本などがその生産力を飛躍的に増大させたため,帝国主義諸国間の力のバランスが変化し,植民地の再分割を目指す闘争が次第に激しさを加えた。 04~05年の日露戦争は,世界の最も有望な未分割地である中国をめぐる争いであった点で,また日本をアメリカとイギリスが支持し,ロシア背後にはドイツとフランスがあった点で,世界的な戦争の前ぶれをなすものであった。さらに,各国における労働運動の高揚,植民地民族解放運動の発展ともからみ合って,イギリス対ドイツの帝国主義的対立を中心に,第1次世界大戦へと導かれた。戦後,戦勝国であるイギリスとフランスが植民地と勢力範囲を拡大し,またアメリカが世界的な金融支配を樹立したのに対し,敗戦国ドイツは植民地の全部を奪われてしまった。しかし,29年の世界恐慌に発した資本主義の全般的危機なかで,「持たざる国」ドイツ,イタリア,日本は危機打開の道を新しい世界再分割に求め,ファシズム体制を固めて侵略政策を推進,「持てる国」イギリス,フランス,アメリカとの対立を激化して第2次世界大戦へと驀進した。

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